福岡県久留米市が「ペットと一緒に過ごせる避難所」を開設しました。
同伴避難が可能で、同行避難とはまた異なりますので、それらの違いと避難場所を知っておきましょう。
災害が予見される、災害が発生した際、避難勧告が出ても「ペットがいるから避難ができない」と悩む方は多くいます。
避難をためらったり、ペットの様子を見に家に戻った飼い主さんが巻き込まれてしまうという事例も過去にありました。
尊い命を1つでも失わないために、久留米市でペットを飼っている方はぜひ本記事を参考にしてください。
目次
久留米市が初の「ペットと入れる避難所」を開設
福岡県久留米市は、3年連続で豪雨による浸水被害に見舞われました。
しかし、避難勧告が出ていても「ペットが居てできない」「ペットと一緒に避難できるのか分かりづらい」という声が多く寄せられていました。
これは久留米市に限らず全国的に言えることですが、ペットが居ることで避難を躊躇う方はたくさんいます。
実際に問い合わせて避難できるかを確認しても、受け入れてもらえないことも少なくありません。
そこで久留米市は、全国でも珍しい取り組みを実施しました。
ペット同伴専用 避難所を開設したのです。
同伴避難と同行避難の違いを知っておこう
まず先に知っておいてほしいことがあります。
災害が予見される場合や災害発生時にペットと一緒に避難する際、同伴避難と同行避難の2種類があります。
かなり大きな違いがありますが、自治体や役所のホームページでは詳細がほとんど書かれていません。
分かりづらく、ペットがいるから避難できないと悩む方も少なくないのです。
それぞれの違いは以下のようになっています。
同伴避難 | ペットも人間の生活エリアで一緒に過ごせる ※ただし、ケージに入れておかなくてはいけない |
同行避難 | ペットは避難所の外または車に入れておかなくてはいけない 人間の生活エリアに入れることができない ※専用スペースが用意されている自治体もある |
原則として、どちらもペットを連れて避難所に行くことはできます。
しかし、避難所で同じ空間、生活エリアで過ごせるか過ごせないかという違いがあります。
同伴避難の場合は、屋内で同じ生活エリアで過ごせますが、ケージに入れておかなくてはいけません。
それでも一緒の空間にいられるのは安心できます。
一方で、同行避難の場合、人間と同じ生活エリアで過ごすことはできません。
避難所の外で雨風等がしのげる安全な場所か、車を持ってきて車の中に入れておく必要があります。
自治体によっては柵などで囲った専用スペースがある場合もありますが、基本的に屋内で一緒に過ごすことができないのです。
同行避難で外に置いておかなくてはいけないのであれば避難所にいかない、という方も少なくありません。
同伴避難ができる避難所は全国的にも少ないのが現状です。
久留米市は市民の声を取り入れ、同伴避難がOKな避難所を開設した貴重な例の1つとなりました。
その点を踏まえて、今後災害が予見される場合、災害発生時に利用できる避難所をそれぞれご紹介します。
久留米市で同伴避難できる避難所
久留米市でペットと同伴避難できる避難所は、現時点で1箇所しかありません。
同伴避難はペットと人間が同じ生活エリアで過ごすことができるので、覚えておくと安心です。
名称 | 久留米サイクルファミリーパーク内 わんぱく童夢館(どうむかん) |
所在地 | 〒839-0851 福岡県久留米市御井町2028 |
電話番号 | 0942-45-5656 |
アクセス | 久留米大学前駅出口から徒歩約18分 南久留米駅出口から徒歩約26分 御井駅南口から徒歩約31分 |
駐車場 | 有り |
ホームページ | 久留米サイクルファミリーパーク |
受け入れ可能世帯数 | 100世帯 |
開設される条件 | 大雨で市が避難警戒レベル3 (避難準備・高齢者等避難開始)を発令した際 ※御井町に出ていなくても開放される |
その他特記事項 | フード、ケージ等の必要なものは持ち込む必要有り |
※以下、久留米市役所防災対策科にて電話で問い合わせたことをまとめています。
ペット同伴OKのわんぱく童夢館は、災害が予見される場合や災害発生時の警戒レベル3が発令されたら開放されるようになっています。
警戒レベル3は、大雨警報(土砂災害)、洪水警報、氾濫警戒情報、高潮注意報が出た際に発令されます。
御井町が警戒レベル3未満、他の校区が警戒レベル3以上だった場合。
受け入れ体制が整っていれば開放しますが、その時の状況によるため、利用時は問い合わせが必要になります。
御井町以外の校区の方でも利用できますが、密を避けるために100世帯以下での人数制限を行う場合があります。
避難所に行っても入れず、他の避難所を案内されることもあるので、まずは行く前に市役所やわんぱく童夢館に問い合わせをしましょう。
久留米市で同行避難できる避難所
現在、福岡県久留米市の指定避難所は142施設あります。
原則として、全ての避難所で「同行避難」はOKとしていますが、その時の状況によってペットとの同行避難が断られることもあります。
また、全ての避難所が開放されるとは限りません。
受け入れ体制が整い次第、順次開放となりますので、市役所や各施設に問い合わせが必要になります。
この時、ペットとの同行避難が可能かもあわせて聞くようにしましょう。
久留米市の避難所一覧は、市役所のホームページをご確認ください。
■久留米市の指定避難所一覧(久留米市役所ホームページ)はこちら
受け入れ可能な動物の条件
ペットにも様々な種類がありますね。
避難所では全てのペット、動物の受け入れができるわけではなく、一定数の条件があります。
同伴避難 | ケージに入れられる小型犬や猫 鳥小屋に入る鳥類 うさぎ、ハムスターなどのげっ歯類 |
同行避難 | ケージに入れられる小型犬や猫 鳥小屋に入る鳥類 うさぎ、ハムスターなどのげっ歯類 ※車で過ごす場合は自己責任できちんと管理できるなら大型犬もOK |
同伴避難の場合、飼い主と同じ生活エリアで過ごすので、持参したケージに入れられる小型犬や猫、鳥、うさぎなどのげっ歯類に限定されます。
飼育が禁止されている危険生物類は、ケージに入れられたとしても受け入れNGです。
同行避難の場合、同伴避難と同じくケージに入れられるペットに限定されます。
ただし、避難所の駐車場で車の名で過ごす場合は、大型犬もOKです。
飼育が禁止されている危険生物類はNGです。
災害時はペットと避難することが原則
ペットが居る方にとって、災害が起きそうな時や災害が発生した時の避難は躊躇してしまいます。
やはり、迷惑をかけるかもしれない、受け入れてもらえないかもしれない、と思ってしまいますよね。
2013年に環境省が「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を作成しました。
その後、2018年に「人とペットの災害対策ガイドライン」へ変更・改訂しています。
ガイドラインには「ペットと同行避難」が原則であると表記されています。
あくまで同行避難なので、同じスペースにいることができないことが多いため、ペットがいる方は一緒に避難するというハードルはまだまだ高いのが現状です・・・。
現在、動物避難所を全国に作りたいと願う獣医師さんたちが集まり、全国動物避難所マップをふるさと納税で作成するプロジェクトが進んでいます。
動物避難所の作成やマップの作成準備が進められていますので、ペットと避難しやすい環境が整ってくることを期待しています。